【保管庫閲覧規則】
1.保管物一切の外部持ち出しを禁ず。
2.編纂室を通さない保管物の改竄を禁ず。
3.保管庫は原則を公開書架とし自由閲覧を許可する。
2.編纂室を通さない保管物の改竄を禁ず。
3.保管庫は原則を公開書架とし自由閲覧を許可する。
※保管物の全ては編纂室による架空世界の集積記録であり、実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
※一部保管物には、暴力・死・精神的衝撃、ならびに軽度の性表現・性暴力・虐待を想起させる描写が含まれる可能性があります。
※観測した事象の変遷により保管物に再編纂が生じる可能性があります。
※保管庫内は文書保存の観点より低湿度に維持されています。閲覧に際し眼または咽喉に乾きを覚えた場合は、適宜休息及び水分補給を推奨します。
※一部保管物には、暴力・死・精神的衝撃、ならびに軽度の性表現・性暴力・虐待を想起させる描写が含まれる可能性があります。
※観測した事象の変遷により保管物に再編纂が生じる可能性があります。
※保管庫内は文書保存の観点より低湿度に維持されています。閲覧に際し眼または咽喉に乾きを覚えた場合は、適宜休息及び水分補給を推奨します。
《編纂室連絡窓口》
【編纂室責任者】蓮賀ミツヨシ
【場所】#北部
【人物】#イーリス #ヘルマン
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リヴェロス家の静かな中庭を歩く二人
整えられた庭には薬草を中心に様々な花木が植えられている
ヘルマン「(二人で中庭に出てみたものの……)」
イーリス「……」
ヘルマン「(何を話したらいいものか……)」
イーリス「……」
ヘルマン「(それにしても……まさかうちのような三流貴族にこんな縁談が舞い込むなんて……)」
「(ご長男は何か事情がおありでか独身、妹のイーリスさんが家督を預かる為に我が家は婿入り)」
「(かなりお身体が病弱とのことで、下流の我が家との縁談は半ば捨て鉢的判断だと囁かれていたが……)」
イーリス「……ヘルマンさん」
ヘルマン「は、はい……」
イーリス「植物に……お詳しいのですよね」
ヘルマン「ええ……まぁ……好きが高じて……」
イーリス「このお花はなんでしたかしら……」
ヘルマン「ああ、それはアイリスですよ」
イーリス「アイリス……」
ヘルマン「遠い国では虹の女神の名前だと。イーリスさんのお名前も、同じ由来かもしれませんね」
イーリス「!……そうなのかしら……」目を見開いている
「もの知らずでお恥ずかしいです……」
ヘルマン「(可憐で……まるで……花木の精のよう……)」密かに見惚れている
ヘルマン「い、いえ……その方が……これからきっと、楽しいですよ……」
イーリス「え……?」
ヘルマン「ああいや……ええと……何を学んでも、新鮮でしょうから……」
「そう言っても、僕が教えられることなんて花や木の事ばかりなんですが……特に、食べられる木の実とか……」
イーリス「……クス」
ヘルマン「(笑うと、一層美しいな……)」
イーリス「どんな木の実がお好きなの?」
ヘルマン「今の時期ならアケビとか……ヤマモモなんかもいいですね」
イーリス「ヤマモモ?」
ヘルマン「所謂モモとは違う小さな粒の集まりでできた実で、ちょっと酸味が強いんですが、ジャムにしても旨いんです」
イーリス「まぁ……食べてみたい」
ヘルマン「よければお作りしますよ」
イーリス「素敵……」
「……昔から、体に負担のかからないものばかり食べさせられて、食べ物も知らないものばかりなんです」
「当家はだいぶ……古い風習を重んじる方でしたので……」
ヘルマン「……」
イーリス「きっとそのヤマモモは、身体にいい食べ物なのですね」
ヘルマン「……?」
イーリス「だってヘルマンさんは、そんなにお身体が立派なんですもの」
ヘルマン「……っ」赤面
「む、昔から……食い意地ばかり張っていたので……」
イーリス「あら、素晴らしい事だわ……」
ヘルマン「……」赤面
イーリス「素敵なことです……」
ヘルマン「……イーリスさん」
イーリス「……はい」
ヘルマン「この結婚が、貴族の古い慣習によるものだったとしても……」
「僕は……この出会いに感謝したい。そして、これからの日々を、きっと素晴らしいものにしたいと思っています」
イーリス「……」
ヘルマン「貴女と……二人で……」
イーリス「……」
ヘルマン「……もっと、気のきいた台詞が出てくればな……」
「……お恥ずかしい……」
イーリス「……」
「クス……」
ヘルマン「……」
イーリス「いいえ、私も……」
「本当は縁談など……お相手のご迷惑になるばかりで、お断りすべきだと思っていたのです……」
「……けれど……貴方となら……」薄っすらと赤面
ヘルマン「……!」
イーリス「……」
ヘルマン「……」
イーリス「(な、なんでしょう顔が妙に火照るわ……)」
ヘルマン「(顔を赤らめたイーリスさんもお美しい……)」
イーリス「(熱かしら……)」
ヘルマン「(彼女が僕の妻に……)」
イーリス「あっ……」動揺からよろける
ヘルマン「あ、あぶない!」そっと支える
イーリス「……」
ヘルマン「……」
イーリス「(逞しい腕……温かい……)」
ヘルマン「(なんて細くて軽い……)」
イーリス「……」
ヘルマン「……」
イーリス「あっ、あの……」
ヘルマン「あ、いや、すみません!どこか痛めませんでしたか?」パッと手を離す
イーリス「い、いえ……だ、大丈夫……です……」
ヘルマン「なら良かった……」距離をとろうとする
イーリス「……」裾を掴む
ヘルマン「……!!」
イーリス「……」
イーリス「あ、あの……」
ヘルマン「」心臓が高鳴る
イーリス「あ、温かいのですね……」
ヘルマン「えっ……」
イーリス「その……手……が……」
ヘルマン「手……」
イーリス「手……」
ヘルマン「……」そっとイーリスの手を握る
イーリス「……」
ヘルマン「……」
イーリス「温かい……」
ヘルマン「……」穏やかに微笑む
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