【保管庫閲覧規則】


1.保管物一切の外部持ち出しを禁ず。
2.編纂室を通さない保管物の改竄を禁ず。
3.保管庫は原則を公開書架とし自由閲覧を許可する。


※保管物の全ては編纂室による架空世界の集積記録であり、実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
※一部保管物には、暴力・死・精神的衝撃、ならびに軽度の性表現・性暴力・虐待を想起させる描写が含まれる可能性があります。
※観測した事象の変遷により保管物に再編纂が生じる可能性があります。
※保管庫内は文書保存の観点より低湿度に維持されています。閲覧に際し眼または咽喉に乾きを覚えた場合は、適宜休息及び水分補給を推奨します。


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【編纂室責任者】蓮賀ミツヨシ

白樹暦842年5件]


【人物】#ネクロ #カスタ
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ネクロ「あいつ新しく女できたらしいぞ」
カスタ「あいつって」
ネクロ「エルリュー」
カスタ「へえ、良かったね」
ネクロ「しかも相手は元教え子」
カスタ「結構年下?」
ネクロ「20代」
カスタ「流石だなぁ……」

ネクロ「あいつなんやかんや女が途切れねぇよな」
カスタ「優しいもん」
ネクロ「そんで人に甘えんのが上手いんだよ」
「流石ほぼ他人のオッサンに道端で拾われただけある」
カスタ「そう考えると凄いな」
ネクロ「でも別れんのは壊滅的に下手だな」
カスタ「確かフラれたことないよね?」
ネクロ「前の女が出てきて結果的にフラれたケースは多々あった」
カスタ「そうだ」

ネクロ「アレ覚えてるか、エルリューが朝市行くっつって出てってすぐ戻ってきて、背中押さえながら」
カスタ「覚えてるよ……」笑いつつ

ネクロ「刺された!」
「誰に!?昨日の残党に!?」

ネクロ「「ジャクリーン」」
カスタ「「ジャクリーン」」

ネクロ「クッ……今でも笑える」
カスタ「あれはビックリしたな」
ネクロ「しかもフォークで」
カスタ「穴が三つ開いてたね」
ネクロ「恐ろしいのは刺した女が一人じゃねぇとこだな」
カスタ「何故かだんだん病んでくんだよね……」
ネクロ「あいつにマンツーマンで甲斐甲斐しくされっと性根が腐るのかもな……」

ネクロ「平常でいられたオッサンが異端だったのかもしれない」
カスタ「耐性があったのかな」
「歴代彼女が若くて家庭環境悪そうな子ばっかりだったせいもあるよな……」
ネクロ「確かに。ベタベタに依存させてたからな……ありゃ別れるなら殺してやるって思われても仕方ないか」
カスタ「そう考えると結構酷いよね……」
ネクロ「極悪人の類いだな。女の敵だぞ」
カスタ「平気で10個下とかにも手出してたしね……」
ネクロ「……」

ネクロ「俺のなんとマトモなことか」
カスタ「んん~~~……手放しに同意しかねる」

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〔 869文字 〕


【場所】#道すがら
【人物】#ネクロ #テル
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テル「父は事故で目を悪くして、それを理由にコミュニティから排斥されました」
「父のいた部族に眼鏡という文化はなかったんです」
「笑えますよね」

ネクロ「……」

テル「それで、遊牧民として足手纏いになって、排された父を追ってきたのが母」
「先進的な両親だったんです」
「その後移民申請してから結婚」
「ああ、眼鏡も入手できました。この辺りはとあるフォレス人の仲介があってのことで」
「名前はアルフ。偽名でしょうけど」

ネクロ「…………」

テル「父は元々知識欲が旺盛で…変わり者だったんです。本読みたさに言語を学んで」
「そんな父を……父の特性に目を付けて……彼は度々移住地を訪れた」
「交流は何年も……そのうち僕が生まれ、妹が生まれ、僕が物心がついた頃からは
もう、来るたびに付きっきりでした」
「僕も父と同じだったんです」

ネクロ「好学の士?」

テル「はは、品よく言えば」
「父は喜びましたが……僕は彼に話を聞くにつれ、不満を募らせていました……」
「いくら知識を深めたところで、一生川向うには行けないのだと」
「小川で、居住区が仕切られていて」

ネクロ「……」

テル「暮らし自体は平和なものでしたよ。農業酪農手工業」
「微々たる賃金」
「飼い殺しってやつですが、犯罪とは縁遠かった」
「川向うの方が、度々白煙が上がったり銃声が響いたりで、余程治安が悪いのは
知っていました」
「知っていても、僕からしたらあちらが本当の世界だった」

ネクロ「……」

テル「両親はいいですよ。高原を知っていて、その上で今を選んでいるのだから」
「でも僕は、あのちっぽけな草地から出たことはなかった」
「持て余していました。全て」
「だから、簡単だったでしょうね」
「反政府組織の隠れ蓑に利用することなんて」

ネクロ「…………」

テル「結果はご存知の通りです」
「僕と妹が生かされたのは、ただのお遊びでしょう」
「気持ちは分かります。ダイスを転がしてみたくなる……」

「……一度、向こうから接触がありました」
「でも、僕の彼への憧れは、とっくに怨嗟と猜疑心に塗り替わっていて」
「……その後はもう」

ネクロ「乗っていたら今頃敵対勢力か」
テル「それも面白い展開でしたかね?」
ネクロ「お前を相手に市街地戦にゲリラ戦か。最高だな」ぞっとしつつ
テル「…………(想像して微笑み)」

テルを横目に眺めているネクロ
ネクロ「……もし今後この道を離れるとしても、引き留めはしない」
テル「…………」
ネクロ「疑っている訳じゃなく、刺される理由はあると思っている」
テル「おや寂しいことを」
ネクロ「……」

テル「あんなに熱心に口説いておきながら」
ネクロ「それは…」

テル「違えませんよ」

テル「貴方が、道を見据えている限り」
ネクロ「…………」

テル「貴方には、僕に刺される覚悟より、道連れにする覚悟を持っていただきたいですね」笑顔
ネクロ「……」

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〔 1297文字 〕


【場所】#護衛部東本部
【人物】#ネクロ #テル
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テル「総長」
ネクロ「なんだ」
テル「なんでもありません」

ネクロ「……………………」
テル「……………………」
ネクロ「……なんでもありません…?」
テル「はい」
ネクロ「なんでも……ありません……?」
テル「だめでしたか」
ネクロ「…いや…」
テル「用もなく呼んではだめでしたか」
ネクロ「だめ…って訳でもないが……しかし……」
テル「違和感ですか」
ネクロ「そう…だな…お前が意味もなく、というのはどうにも…」
テル「…普段は総長の方が職務外の関わりを持ちたがるのに、不思議ですね」
ネクロ「…………」
テル「……真面目なんですよね」
ネクロ「……批難してるか」
テル「いいえ」
「敬服しています」
ネクロ「…………」
「そうやって、堅い言葉で距離を置く」

テル「必ずしもそうとは」
「僕は言葉が好きですよ」
「これは貴方のために選んだものです」
ネクロ「……」
テル「貴方によく合いますよ」
ネクロ「…………つまり一生くだけない」
テル「そうかもしれません」
「でも、意味もなく呼ばれるのは嫌なんでしょう?」
ネクロ「嫌って訳じゃ……」
テル「総長」
ネクロ「……」
テル「総長」
ネクロ「なんの時間なんだ……」
テル「総長」
ネクロ「意味がわからん…」
テル「そうですか」
ネクロ「なにがそんなに楽しいんだ…」
テル「なんででしょうね。とても楽しいです」
「総長」
ネクロ「…もういい、好きにしてろ…」
テル「ふふ、はい」


カク「イチャイチャしてるようにしか見えません」
カスタ「確かになぁ」
ロイス「テルさん積極的だよね」
カク「あれでイチャついてない自認なんて信じられません」

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〔 769文字 〕


【場所】#東部
【人物】#ネクロ #テル
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テル「総長のお宅って、男親だけだったじゃないですか」
ネクロ「まぁそうだな」
テル「男親だけでも養子って迎えられるんですね」
ネクロ「東部は特に緩いから、前科やら収入やら職務実績やら養育環境やらが引っ掛からなきゃいけるな」
テル「そうなんですね」
ネクロ「夫婦家庭よりは審査が厳しくなるけどな」
テル「なるほど」
ネクロ「まぁ、そんなに多いケースって訳でもないが全くないでもない」
テル「寛容な制度ですね」
ネクロ「…まぁ、寛容というより放任寄りだがな…」

テル「砂宮からするとこの国は禁忌の楽園なんだとか」
ネクロ「あそこは宗教戒律が厳しいからな」
テル「いい響きですねぇ~禁忌の楽園!」斜面の草地に寝転ぶ
ネクロ「………」
テル「楽園の夕暮れは今日もこんなにも美しい」
ネクロ「………」空を仰ぐ

テル「正に人生最期の地に相応しい」
「これ以上のものなんて望まないです」
ネクロ「………」

ネクロ「お前がその目で見た景色ってのは、世界のほんの一部で、これが至上のものだと結論付けるには、まだ、早いんじゃないのか」
テル「……」
ネクロ「……」
テル「……そうですね。その世界の景色とやらもこうして隣で眺められたら、きっと素晴らしく映るんでしょう」
ネクロ「……」テルを見る

テル「結局そういうことなんですよ。貴方がいるならどこだって……」
「いつか、一緒に見に行ってくれますか?」
ネクロ「…………」
テル「……」
「……貴方が確約の出来ない約束を嫌うのも、よく分かっていますよ」
「それは貴方の優しい所の一つです」
ネクロ「……」

テル「じゃあ質問を変えますね。貴方は、ここではないどこか遠くの景色を見に行ってみたいですか?」
ネクロ「……」
「……そうだな……」
「……幾つも巡り歩いて、それでも尚ここが素晴らしいと、そう、言えたらいいとは、思う……」
テル「……素晴らしい郷土愛ですね」

ネクロ「郷土愛か?」
テル「郷土愛ですよ。僕は違いますもん。貴方がいなかったら燃えるような夕暮れなんて呪われた景色のままですよ」

ネクロ「……」
テル「でもいいですね。幾つも巡り歩いて、再び戻ってきた時、生まれ変わったような気になれたりするんでしょうか」
大樹(エリス)の葉のように」
ネクロ「………どうかな」
テル「じゃあやってみません?」
ネクロ「いつ」
テル「暇になったら」
ネクロ「いつだよ……」
テル「いつでも」

テル「僕は、総長がその気になったら、いつでもいいですよ」
ネクロ「………」

テル「本気ですからね?」
ネクロ「そうかよ」
テル「総長の発案ですからね」
ネクロ「なんでそうなる」
テル「だって僕は別に国外行きたいとか言ってませんもん」
ネクロ「はぁ…?………まぁ、そうだが……いや、俺は別に、そうだったらっていう」
テル「例え話でも僅かにそういう願望があるのなら、実行できますよ」
「そうでしょう?」
ネクロ「……」
テル「あ、僕とはイヤとか言わないで下さいね今更」
ネクロ「あー…」
テル「もし一人で行かれたりしたら地の果てまで追いかけますからね」
ネクロ「それはそれで面白そうだな……」
テル「やめて下さいそういうエキサイティングさは求めていないんです」
ネクロ「……分かってる。端からお前をそんなぞんざいに扱う気はない」
テル「総長……」

テル「一応言いますが、丁寧に扱ってきてアレだったんですね」
ネクロ「そうだな」
テル「……分かってます今のは様式美みたいなもんなので。ずっと総長の愛は感じてましたので」
ネクロ「…」
テル「でも……はっきり口にして貰えると、違いますね……」

テル「総長ってほんと、自分から手を出した相手に律儀ですよねぇ……」
ネクロ「そりゃ俺が振り回しといて、いきなり切ったり出来ねぇだろ……」
テル「世の中総長みたいな人が多いともっと平和なんでしょうけどねぇ……」

ネクロ「人を能天気みたいに……」
テル「はは、違いますよ。天然記念物だと褒めているんです」
ネクロ「余計馬鹿にしてんだろ」
テル「そういうところが大好きだって言ってるんですよ」
ネクロ「」
テル「そしてそうやって自分が傷付くばかりを選ぶ貴方に寄り添って、せめて残る傷痕が浅くあれと願うのが、僕の生きる道なんです」
ネクロ「……」

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〔 1851文字 〕


【場所】#東部
【人物】#ネクロ #テル
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屈みながら一つ一つ物品を選別していくテル

テル「見事でしたよ」

青空の下、荒野の一角の草地にやわく風が吹いている

寝転んで頭の下に手を敷き、片足を組んで空を眺めているネクロ
近くに携帯用スコップが刺さっている


ネクロ「……褒められたものじゃない……」

テル「褒められたものですよ」
小さな手帳を手に取って中を検める
鞄にしまう


テル「命を取られなかったんですから、褒められたものです」

《足場が崩れ刺客と共に体勢を崩す回想》
《崖上から焦って覗き込むテル》


ネクロ「……捕縛するつもりだった……」

《倒れる刺客の傍らで血に塗れたナイフを手にしているネクロ》

テル「無理もないです」
「貴方に怪我がなくて良かった」

ネクロ「……良いものか……」

テル「良いものです」
「それにあまり捕縛してばかりでもまた西本部にどやされますよ」
ネクロ「だから予算を優遇している……」

ネクロ「捕縛しなかったら放置か殺すかの二択だろうが……」
テル「貴方は生きるか死ぬかの二択でしたよ」

ネクロ「…………」

テル「僕が安堵していることすら受け入れ難いですか」

ネクロ「……」横目にテルを見る
テル「心底」ネクロを真っ直ぐ見ている

ネクロ「……終わったか」

テル「はい。他はそのままでもいいでしょう」埃を掃って立ち上がる

相手の遺品から来歴が辿れそうなものを物色していた
簡易な墓が作られており、目印と共に一部遺品は残される


ネクロ「支部に連絡しとけ」この場を立ち去る
テル「はい」連れ立つ

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〔 724文字 〕