【保管庫閲覧規則】


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※観測した事象の変遷により保管物に再編纂が生じる可能性があります。
※保管庫内は文書保存の観点より低湿度に維持されています。閲覧に際し眼または咽喉に乾きを覚えた場合は、適宜休息及び水分補給を推奨します。


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【編纂室責任者】蓮賀ミツヨシ

◆アルバフォレス概要10件]


     地理     
大陸西端に位置し、北はアラト山脈、東は黄砂漠の部族地帯を境に北壁国、砂宮国と隣接。
国内の大半がステップ気候及び乾燥気候であり、中央に僅かに森林を有する。
乾季(4月~10月)
雨季(11月~3月)
 
マグリブ地方を中心とした乾燥地帯
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     産業     
主産業は農業、牧羊、鉱物、革加工、オリーブ、漁業等。
地域独特の特殊な幾つかの植物が自生しており、それを元にした薬草学が発達している。

〔 230文字 〕

主要人種であるフォレス人の他、《蒼き草原の民(アズラ・タル)》と呼ばれる少数民族、白砂漠固有の遊牧民、隣国からの移民等の多様な人種で構成される。

     人種     

◆フォレス人
かつてこの地へと辿り着き、国を興した開祖。その祖は白磁の肌に深緑の瞳を持ったとされるが、現代では地域により特徴が異なる。
東西南北地域に広く分布するが、中央、北部地区は特に割合が高くなっている。

《南方フォレス人》
南部、東部に多く、主に褐色の肌や瞳、髪を持ち、混血により身体の丈夫なものが多い。

《北方フォレス人》
主に中央、北部に居住し、白肌金髪で色素の薄いものが多い。また伝統的因習により血が濃く、遺伝的疾患を抱えているものが多い。

◆蒼き草原の民(アズラ・タル)
フォレス人による少数遊牧民の外部による総称であり、固有の民族を指す呼称ではない。差称的意味合いを含む。
地域ごとに山岳系、高原系に大別される。

《山岳アズラ》
北部から西部にまたがる国内最高峰のアラト山脈に居住する遊牧民の呼称で、地域ごとにいくつかの部族に分かれ、肌色も北壁由来の白~浅黒い色まで様々。一部は定住化し、アルバフォレス国民として帰化している。
視力、心肺能力に優れたものが多い。髪色は浅黒いものが多い。多くは羊飼いや木こり、狩人で、丁稚奉公として都市部に出稼ぎに出ている者もいる。自然を尊び閉じた山岳の暮らしへの誇りと愛着を持つものが多く、高原アズラに比べ比較的温厚で争いを好まないとされる。

《高原アズラ》
東部の高原地帯に居住する幾つかの遊牧民部族の総称。一部は定住化しアルバフォレス国民として帰化しているが、その多くは国や土地に属さない暮らしを続けている。
フォレス人による土地開発のあおりや進行する砂漠化により活動地域を徐々に追われており、それによる部族間の軋轢も強まっている。山岳アズラに比べ部族間衝突が激しく、気質は比較的好戦的とされる。多くは家父長制。
また黄砂漠廃墟群を中心にフォレス人支配に抵抗する反政府組織の拠点も多くあり、フォレス人との衝突も多々ある為、フォレス人に友好的なアズラであっても国内での偏見は根強い。基本的に髪や肌は浅黒く、視力に優れたものが多い。

◆ラハール
南部白砂漠内自治区に暮らす遊牧民族。古来よりこの地に住まい長年に渡りフォレス人とは土地の主権を争っていたが、近年《青ラハラ》と呼ばれる一派との間に友好条約が結ばれたことにより、南部護衛部とは共助関係にある。
《ラハール》は民族全体としての呼称で、個人を指す場合は《ラハラ》と呼称する場合が多い。
肌の色素が濃く、また部族の文化的特徴により高身長かつ端正な容姿のものが多い。

◆北壁人(ホクヘキジン)
西北に隣接する軍事大国の主要人種。大柄で彫りが深く、肌の色素が薄い者が多い。

◆砂宮人(スナミヤジン)
東部に隣接する資源大国の主要人種。浅黒い肌で中背の者が多い。


     言語     
公用語はフォレス語。他に地域によって北壁語、砂宮語、山岳アズラによるアラト語(地域により変化)、高原アズラによるティディク語(地域により変化)、ラハラ語等が使用される。また、古語として古代語がある。

各言語の特徴として、フォレス語と比較した場合、アラト語はくぐもった発音が多く、ティディク語は端的で語彙が少なく、ラハラ語は比喩表現が多い。

◆フォレス文字
曲線的で声音記号を用いた記方をとる。横文字式で左から右に書く。
声音記号は省略される場合もある。

◆ティディク文字
直線的で原初的な形状。縦書き、横書きが混在する独特の書式方をとる。

《フォレス文字の例》
ネクロのメモ
ネクロのメモ
ロイスのメモ
ロイスのメモ

テルのメモ
テルのメモ
エリーゼの反省文(一部に北壁語を含む)
エリーゼの反省文(一部に北壁語を含む)


《ティディク文字の例》
ティディク(高原アズラ)文字
ティディク(高原アズラ)文字

〔 1548文字 〕


     宗教     
大樹(たいじゅ)
中央首都にそびえる《エリス(エリサリア)》と呼ばれる大樹を母神と祀るもの。国教。
国民はみなこのエリスから生まれ、死後はまたエリスに還るとされ、エリスが枯れる時国は滅び、エリスを護る事がフォレス人としての天命とされる。
主な葬送は土葬であり、火葬はエリスに還れないとされ刑罰や見せしめ等で行われる。
エリスの根の届く土地に住まう者はみなエリスの子であり、家族である、との共助理念を掲げており、それによる孤児院運営活動が各地で盛んに行われている。

 関連『書付|建国神話《アルバフォレスの興り》』

【役職別呼称】
樹祭(じゅさい)》…幹部級の祭司
枝祭(しさい)》…地域で活動する祭司
緑師(りょくし)》…孤児院運営管理者

【関連団体】
緑礼院(りょくれいいん)》…エリスの管理を管轄する部署。王政時でいう神官部門。


・その他
ラハールによる天空神を中心とした精霊信仰、山岳アズラの山岳信仰、高原アズラの月信仰がある。


     行事     
・収穫祭
作物の実りを祝う祭事。炊き出しやダンスなど地域により様々な様式が見られる。

・落葉祭
大樹教の教義に基づく故人を悼む祭日。
教えでは

”人はエリスの葉として生を受け
その枝を離れた時今生の生を終える
地に着くまでの魂の旅を経て
いずこかの大地に降り立った時
再びエリスの子として大樹に還る”


とされ、故人の旅路を祈る日であるとされる。
一般には花や、旅人の無事を祈るお守りを窓辺に飾る。

・星送り
乾季の終わり(11月)に星空を見送る行事。地域ごとに慣習が異なる。
星送りの本祭は新月の夜だが、前後の期間も含めて祭りとされる。

〔 731文字 〕


     教育     
7歳から14歳までが義務教育期間となり、各地に公立学校、及び私立学校がある。

初等教育…7歳から11歳
中等教育…12歳から14歳
高等教育(大学)は中央にのみ設立されている。

    成人年齢    
18歳。
飲酒喫煙解禁年齢についても原則としては同様だが、地域ごとの慣習にもより厳守されておらず、違反の場合の罰則も一律ではない。
なお白樹暦842年時点での平均寿命は70歳程度。

〔 216文字 〕

首都中央地区の他、東西南北4つの地区に分かれる。

地域区分及び高低差簡略図
地域区分及び高低差簡略図
王家のイメージラベル及び古地図的図録
王家のイメージラベル及び古地図的図録


・中央
大樹エリスを中心としてかつての王城や行政施設が集約しており、それを囲むように上流階級の居住区がある。他地域からの出入りは検問にて政府発行の通行手形の提示が必要になる。
特区として第一国軍が常駐、警護しており、他地域との生活格差が激しい。高等教育機関として国内で唯一大学が置かれている。護衛部本部はなく、支部として小規模な建物を有する。
エリスの元の平等を謳い外周に沿った平民地区があるが、ほとんどスラム街であり、住民は《枝境(えだざかい)》として差別的な扱いを受けている。
また、エリスを抱える中央地区は《梢内(しょうない)》、それ以外は《梢外(しょうがい)》地域とも呼ばれる。その場合大抵は梢外地域に対する侮蔑・自虐的な意味合いが含まれる。

・北部
アラト山脈の最高峰地点を背負う急峻狭量な土地に、古くからの貴族階級としての北方フォレス人、及び少数の山岳アズラが住まう。
樹木が多く水資源にも恵まれているが、平地が少なく農地は小規模である。中央寄りの地域は古くから中央民の別荘地として栄え、護衛部北本部含め中央との結び付きが強い。

・西部
赤色荒野、及び赤砂漠を有する荒涼とした土地に、フォレス人労働者階級を中心に山岳アズラ、北壁移民等が住まう。
古代王朝の遺跡があるが、観光資源として整備されておらず年々風化している。
幾つかの鉱山が伝統的に流刑犯罪者の刑務地として使用され、現在も刑務としての採掘が続けられている。また護衛部の大規模演習、訓練地がある。人口に対する治安指数が低く、慢性的な隊員不足であるとして、西本部では特別給仕員として実質の女性隊員枠を独自運用している。北壁移民の多い地域では北壁語がフォレス語と併用される。

・南部
国内最大の白砂漠を抱え、南端は海に面している。緑地は中央、東部隣接部と僅かな沿岸部に限られ、主な産業は漁業、また貿易業となる。
白砂漠は国内で最も砂の粒子が細かく、機械類の隙間に容易に入り込むため、白砂漠内の戦闘ではほとんどの機械は役に立たない。南部護衛部は白砂漠の青ラハラとの和平協定によって共助関係にあり、副長として青ラハラの族長代理を置いている。青ラハラは女性戦闘員を中心とした部族であり、白砂漠内においては彼女達との共助が欠かせない。
海岸沿いに天然温泉があり、一部リゾートとして栄えている。

・東部
黄色大砂漠を有する地域で、その大部分は肥沃なステップ地帯であり、農業また工芸、商業の中心地として国内では最も多くの人口を抱える。
なお黄色大砂漠はその全体規模としては白砂漠よりも広大だが隣国との紛争地帯を含むため、全てが国土とはされていない。また元々大部分は緑地であったが、砂漠化の進行により砂地の規模が年々拡大している。護衛部の総本部が置かれ、支部数も多い。また幼年~中等兵科までの隊員養成学校があり、国内から広く孤児を受け入れている。卒業後は必ずしも隊員になるとは限らず、また身体的ハンデがあっても程度によっては入学出来る。隊員としての入隊は男子に限られ、女子は間接的な支援に留まる。

〔 1307文字 〕

アルバフォレスの開祖とされるアドナ・エル=フォリス家による王政が建国以降敷かれていたが、白樹暦823年のクーデターによりその血は公的に根絶している。

〔 77文字 〕

・アルバフォレス第一国軍
中央地区専任組織。主に貴族階級などのエリートから成り、中央地区における治安維持活動を主とする。所属人種の大半をフォレス人が占める。

・アルバフォレス第二国軍
通称《護衛部》。民主化に伴い地域自警団から半公営化された組織。
中央を除く地域を管轄とし、国境警備・国内の治安維持・主要施設の警備・交通取締り等の任務にあたっている。
出自を問わず広く隊員を受け入れている。

〔 199文字 〕

民主化以降幾つかのレジスタンス組織が確認されている。

〔 32文字 〕


始めに、二人の兄弟がいました。
二人は安住の地を求め世界中を旅していました。

ある日延々と続く砂の海の果てに小さなオアシスを見つけ、
二人はそこで喉を潤し、灼けた肌を木陰で休めました。

翌朝、兄は言いました。

「私はここを安住の地と決めた」

弟は問いました。

「何故こんな小さなオアシスに留まるというのか」
「たちまち枯れてしまうぞ」

兄は答えました。

「美しい少女に出会ったのだ。彼女を護らなくてはならない」

兄が指し示す場所には小さく弱弱しい幼木がありました。

二人の意見は割れ、兄弟はここで道を分かつことになりました。
兄はオアシスに留まり、弟はまだ見ぬ地へと旅立ちます。

弟には、ついぞそれが少女の姿には見えませんでした。



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ネクロ「兄の気が触れた話か」
リベウス「そうとも言えますね」
「大樹教はこれを《弟の信心がなかった》と解釈しています」
「ちなみに文献では特に《兄》《弟》の区別はなく、単に《兄弟》と書かれています」
「《兄》は《アルバ・フォレス》、《弟》は《アズラ・タル》の祖とされ、これも大樹教によるアズラ・タルを下位と見る姿勢の表れですね」

ネクロ「大樹教がろくでもないことはよく分かった」
リベウス「ふふ、そうですねぇ」
「その後兄の留まったオアシスはみるみる栄え、広大な緑の地となり、彼は《エリスの夫》として国を興した…それが当家の始まりと言われています。今から800年程前の事だと伝えられています」
ネクロ「……」
リベウス「その頃には既に西部の古代都市は廃墟となっていたようです」
「壁画には大樹の姿が描かれているので、それもエリスとするならば相当な年月を生きている事になりますが…」

リベウス「ようはオアシスの怪異に魅入られた、ということでしょうね」
ネクロ「仮にも自国のご神体を怪異と…」
リベウス「伝承などでもよくある話です。大抵魅入られた者は精気を吸い取られ干乾びて死にますが、うちのはハッピーエンド版という感じでしょうか」
「ただエリスは今も人の手なしに生きられないのは事実」
「私達は今、干乾びた男の夢の中を生きているのかもしれませんね」
ネクロ「………」

リベウス「今でも稀に人型のエリスを見た、という人が現れます。見た者が年若い乙女なら《宿り巫女》と呼ばれ祀られてきました」
「王家の跡継ぎには必ず夢枕にエリスが立つと言われています」
「しかし私は今のところ一度も見た事はありません」
「彼女の好みではなかったのかもしれませんね」

ネクロ「………」
「ところで、何で初めから”彼女”扱いなんだ?男のパターンはないのか」
リベウス「ああ、それはこの樹が雌株だからですよ」
ネクロ「そこは科学的根拠があるのか…」
リベウス「ただ雄株は見つかってはいません」
「彼女は世界でたった一人で、孤独に耐えかねていたのかもしれません」
ネクロ「………」

リベウス「こうして我々はこの地を見出し、そして囚われた」
「彼女の元を去りまた流浪の旅に出るか、それとも」
ネクロ「………」
リベウス「今ひとたびの選択の時ですね。貴方の目にはここが楽園に映りますか?」

#ネクロ #リベウス
____白樹暦843年 某所にて
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〔 1386文字 〕