【保管庫閲覧規則】


1.保管物一切の外部持ち出しを禁ず。
2.編纂室を通さない保管物の改竄を禁ず。
3.保管庫は原則を公開書架とし自由閲覧を許可する。


※保管物の全ては編纂室による架空世界の集積記録であり、実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
※一部保管物には、暴力・死・精神的衝撃、ならびに軽度の性表現・性暴力・虐待を想起させる描写が含まれる可能性があります。
※観測した事象の変遷により保管物に再編纂が生じる可能性があります。
※保管庫内は文書保存の観点より低湿度に維持されています。閲覧に際し眼または咽喉に乾きを覚えた場合は、適宜休息及び水分補給を推奨します。


《編纂室連絡窓口》

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【編纂室責任者】蓮賀ミツヨシ


【場所】#東部
【人物】#ネクロ #テル
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テル「総長のお宅って、男親だけだったじゃないですか」
ネクロ「まぁそうだな」
テル「男親だけでも養子って迎えられるんですね」
ネクロ「東部は特に緩いから、前科やら収入やら職務実績やら養育環境やらが引っ掛からなきゃいけるな」
テル「そうなんですね」
ネクロ「夫婦家庭よりは審査が厳しくなるけどな」
テル「なるほど」
ネクロ「まぁ、そんなに多いケースって訳でもないが全くないでもない」
テル「寛容な制度ですね」
ネクロ「…まぁ、寛容というより放任寄りだがな…」

テル「砂宮からするとこの国は禁忌の楽園なんだとか」
ネクロ「あそこは宗教戒律が厳しいからな」
テル「いい響きですねぇ~禁忌の楽園!」斜面の草地に寝転ぶ
ネクロ「………」
テル「楽園の夕暮れは今日もこんなにも美しい」
ネクロ「………」空を仰ぐ

テル「正に人生最期の地に相応しい」
「これ以上のものなんて望まないです」
ネクロ「………」

ネクロ「お前がその目で見た景色ってのは、世界のほんの一部で、これが至上のものだと結論付けるには、まだ、早いんじゃないのか」
テル「……」
ネクロ「……」
テル「……そうですね。その世界の景色とやらもこうして隣で眺められたら、きっと素晴らしく映るんでしょう」
ネクロ「……」テルを見る

テル「結局そういうことなんですよ。貴方がいるならどこだって……」
「いつか、一緒に見に行ってくれますか?」
ネクロ「…………」
テル「……」
「……貴方が確約の出来ない約束を嫌うのも、よく分かっていますよ」
「それは貴方の優しい所の一つです」
ネクロ「……」

テル「じゃあ質問を変えますね。貴方は、ここではないどこか遠くの景色を見に行ってみたいですか?」
ネクロ「……」
「……そうだな……」
「……幾つも巡り歩いて、それでも尚ここが素晴らしいと、そう、言えたらいいとは、思う……」
テル「……素晴らしい郷土愛ですね」

ネクロ「郷土愛か?」
テル「郷土愛ですよ。僕は違いますもん。貴方がいなかったら燃えるような夕暮れなんて呪われた景色のままですよ」

ネクロ「……」
テル「でもいいですね。幾つも巡り歩いて、再び戻ってきた時、生まれ変わったような気になれたりするんでしょうか」
大樹(エリス)の葉のように」
ネクロ「………どうかな」
テル「じゃあやってみません?」
ネクロ「いつ」
テル「暇になったら」
ネクロ「いつだよ……」
テル「いつでも」

テル「僕は、総長がその気になったら、いつでもいいですよ」
ネクロ「………」

テル「本気ですからね?」
ネクロ「そうかよ」
テル「総長の発案ですからね」
ネクロ「なんでそうなる」
テル「だって僕は別に国外行きたいとか言ってませんもん」
ネクロ「はぁ…?………まぁ、そうだが……いや、俺は別に、そうだったらっていう」
テル「例え話でも僅かにそういう願望があるのなら、実行できますよ」
「そうでしょう?」
ネクロ「……」
テル「あ、僕とはイヤとか言わないで下さいね今更」
ネクロ「あー…」
テル「もし一人で行かれたりしたら地の果てまで追いかけますからね」
ネクロ「それはそれで面白そうだな……」
テル「やめて下さいそういうエキサイティングさは求めていないんです」
ネクロ「……分かってる。端からお前をそんなぞんざいに扱う気はない」
テル「総長……」

テル「一応言いますが、丁寧に扱ってきてアレだったんですね」
ネクロ「そうだな」
テル「……分かってます今のは様式美みたいなもんなので。ずっと総長の愛は感じてましたので」
ネクロ「…」
テル「でも……はっきり口にして貰えると、違いますね……」

テル「総長ってほんと、自分から手を出した相手に律儀ですよねぇ……」
ネクロ「そりゃ俺が振り回しといて、いきなり切ったり出来ねぇだろ……」
テル「世の中総長みたいな人が多いともっと平和なんでしょうけどねぇ……」

ネクロ「人を能天気みたいに……」
テル「はは、違いますよ。天然記念物だと褒めているんです」
ネクロ「余計馬鹿にしてんだろ」
テル「そういうところが大好きだって言ってるんですよ」
ネクロ「」
テル「そしてそうやって自分が傷付くばかりを選ぶ貴方に寄り添って、せめて残る傷痕が浅くあれと願うのが、僕の生きる道なんです」
ネクロ「……」

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