【保管庫閲覧規則】


1.保管物一切の外部持ち出しを禁ず。
2.編纂室を通さない保管物の改竄を禁ず。
3.保管庫は原則を公開書架とし自由閲覧を許可する。


※保管物の全ては編纂室による架空世界の集積記録であり、実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
※一部保管物には、暴力・死・精神的衝撃、ならびに軽度の性表現・性暴力・虐待を想起させる描写が含まれる可能性があります。
※観測した事象の変遷により保管物に再編纂が生じる可能性があります。
※保管庫内は文書保存の観点より低湿度に維持されています。閲覧に際し眼または咽喉に乾きを覚えた場合は、適宜休息及び水分補給を推奨します。


《編纂室連絡窓口》

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【編纂室責任者】蓮賀ミツヨシ


【場所】#南部
【人物】#クロード #マル
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マル「あ~……ようやく昼メシかぁ……長かったなぁ今日は……」
「(何食うかなぁ今日は肉より魚って気分かn)」背後から首を羽交い締めにされる
「ッグッ」
クロード「マル、吉報だ」
マル「グック……」
クロード「メシに行こう。カルアのダイナー。いいな」
マル「グロ、ド……首っ……」
クロード「おっと失礼、気分が舞い上がっていてつい。さ、行くぞ!」
マル「っはぁ……ふぅ……」
クロード「さっさとしろ!」
「グズグスするなよ!」
マル「わぁったよ!ちくしょう……」

ダイナーにて

マル「んで、どうしたんだよ」
クロード「マル、今日はいつになくいい天気だな……空も澄み渡っている……」
マル「……至って普通だが……なんなら薄曇りウッ」
クロード「まぁ聞けマル」
マル「お前が聞けよ襟を離せ!」
クロード「ステラが妊娠した」
マル「あっ?そりゃあオメデ……」
クロード「そうオメデタだよマル!子供ができたんだ!……っこの感慨……正に吉報と言わずして何といわんや……」
マル「お、おうそうだな、取り合えず襟を離そうな」
クロード「今か今かと待ち望んではいたもののいざその時が来ると果たして立派な父親になれるのか、と情けなくも不安がよぎるものだな……」
「でも嬉しい!」
マル(襟を掴む手を外しつつ)「お前さんにも一端の人間みたいな葛藤があって俺も嬉しいよ……」
クロード「予定日は12月になるらしい。冬生まれだな。まだ性別は分からないんだがステラはきっと男の子だと言う。彼女の勘は当たるから多分男の子だろう」
マル「(目ぇ、キラキラさせやがって……)」
クロード「どっちに似るかな。髪色は目の色は。ステラに似たら男の子でもそれはそれは可愛いだろうな」レモネードを高速でかき混ぜ続けている
マル「そうだな。俺としても奥さん似のほうが安牌だな」

突然クロードが机を叩く

マル「ぅえっ!悪ぃ……」
クロード「家をさ!ファミリータイプに引っ越さないといけないんだよ!」真剣な眼差し
マル「あ、ああそれもそうだな……」
クロード「庭付きだよなやっぱり……ウッドデッキがあって屋根裏があって……」
マル「夢が広がるな」
クロード「ただステラがつわりで辛そうなんだよ……!」
マル「ああ~……俺の姉ちゃんも死ぬほどしんどかったって言ってたっけな」
クロード「そうかマル!であればお姉さんの連絡先を教えてくれないか。ステラは両親を亡くしているし俺も頼る宛が無いから身近な経験者が何より必要なんだ!」
マル「お、おう姉ちゃんに聞いてみるよ……」
クロード「よかった!お前の血縁でも無事子孫を残せた身内がいたんだな!お前もこれで安泰だな!」
マル「クロードお前めでたい話に舞い上がってるからとはいえそりゃあんまり……」
クロード「安心しろマル、お前の見てくれは内面を知るものにとって些事だと俺はちゃんと分かっているからな」
マル「……そりゃありがとよ……」
クロード「ということで、俺はしばらく定時で上がらせてもらうようテッドに掛け合ってるから、皺寄せが行くと思うが頼むな」
マル「急に実務的な話になったな……そりゃお前んとこの事情を考えたらしょうがないだろ、しっかり奥さん支えてやれよ」
クロード「ありがとう。お前も早く内面重視の女と出会えるといいな」
マル「ご心配ドーモ!」

クロード「ところでつわり中でも食べられるものって何があるのかお姉さんに聞きたいんだが、お前も何か聞いてないか?どうやら船酔い的な感覚らしいんだが、あのなんでも食えるのが自慢のステラがそれもこれも受け付けなくて見ているこっちも辛いんだ……医者は今体重が減っても問題ないと言うんだが心配で心配で心配で」
マル「ああー……姉ちゃんは確か……みずみずしい果物なら食べやすかったっつってたかな……」
クロード(手帳に書き込みつつ)「妊娠したら子供が生まれるまで楽しみに待つばかりと思っていた自分が愚かで嘆かわしい。ステラは毎日青い顔して横になってるっていうのに俺は浮かれるばかりで……」
マル「世の父親なんてそんなもんじゃねぇの。お前さんも人の子だったってことだ」
クロード「好きだった酒も当面飲めなくなったのが何より辛いらしい……」
マル「そりゃあ酒飲みには辛かろうな」
クロード「俺は当面のスキンシップが制限されたことが密かに辛いんだが……」
マル「スキンシップ?」
クロード「安定期まで夜の営み禁止なんだそうだ」
マル「おう……なるほどな?」
クロード「今は具合が悪いのが見てとれるからさすがにその気も起きないが、安定期まであと数ヶ月と言われると正直……」
マル「お、おう……まあそのなんだ……奥さんと、上手くやれな」
クロード「おっと失礼、マルに持ちかけるには酷な相談だったな。独り身相手に気が利かずにスマンスマン」
マル「おめぇよ……俺には何言っても許されると思ってるだろ」
クロード「違うのか?」
マル「ちっ……違うだろそりゃ!人をなんだと思ってやがる井戸じゃねえんだぞ」
クロード「王さまの耳はロバの耳か」
マル「大体俺以外にも相談相手くらいいるだろ。なんだよサンドバッグにでもしたいのか?」
クロード「そんなまさか」
マル「俺のモテなさを笑って溜飲下げるのが目的か」

クロード「マル、聞いてくれ。」
マル「……なんだよ」
クロード「お前は俺の大事な友人だ。今回の件、いの一番に知らせたかった。」
マル「……」
クロード「お前はこんな俺に付き合ってくれるドの過ぎたお人好しだ。腹を割って話せる、数少ない相手だ。」
マル「そ、そうかよ……」
クロード「だから決していじって溜飲を下げたいなんていう短絡的な理由で昼食に誘ったんじゃない。ただお前をからかって怒らせてリアクションを楽しみたかっただけなんだ。純粋に。」
マル「……」
クロード「理解してもらえたかな」
マル「いや全然」
クロード「ならよかった」
マル「えっ今会話になってたか?」
クロード「おっとそろそろ戻らないと昼休みが終わるな。先に会計しているぞ。グズグスするなよ」
マル「……っくそ勝手気まま野郎、まてコラ!」

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