【保管庫閲覧規則】


1.保管物一切の外部持ち出しを禁ず。
2.編纂室を通さない保管物の改竄を禁ず。
3.保管庫は原則を公開書架とし自由閲覧を許可する。


※保管物の全ては編纂室による架空世界の集積記録であり、実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
※一部保管物には、暴力・死・精神的衝撃、ならびに軽度の性表現・性暴力・虐待を想起させる描写が含まれる可能性があります。
※観測した事象の変遷により保管物に再編纂が生じる可能性があります。
※保管庫内は文書保存の観点より低湿度に維持されています。閲覧に際し眼または咽喉に乾きを覚えた場合は、適宜休息及び水分補給を推奨します。


《編纂室連絡窓口》

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【編纂室責任者】蓮賀ミツヨシ


【場所】東部
【人物】ネクロ テル ロイス エリーゼ
※本編漫画14話『Come Date with Me』のプロト版です。
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◆1

ロイス「ディナーデートさせる?」
「誰を?」
ネクロ「テル」
ロイス「誰と」
ネクロ「協力者を募って何人か用意して選ばせる」
ロイス「……それ意味あるの?」
ネクロ「いつか彼女欲しいとか言いながら一向に動く気配がない。多少強引にでも機会を作らねぇと一生あのままだ。来週の星送りの予定埋めさせてやる」
ロイス「お節介焼きだなぁ~本人の自由だと思うけど」
ネクロ「いいからちょっと協力しろ」

◆2

エリーゼ「あたしそういう話大好きよ」
「あんたは嫌いだけど」

ネクロ「お前……必ずいるな……」
エリーゼ「ところで先に星送りが何か説明してくれる」
ネクロ「あ?」
ロイス「それでは説明しよう」
「星送りとは、雨季に入る前に星空をゆっくり眺めて過ごそう、という期間の事で、この間に恋人を作ると長続きするという謂れがある」

エリーゼ「ああ…雨が降ったら部屋でイチャつけると……」
ネクロ「察しがいいなネズミにしては」
エリーゼ「次バカにしたら凹ますわ」



ロイス「でもエリーがいた方がやりやすいかもね」
ネクロ「………まぁいい。好きにしろ」

エリーゼ「人にものを頼む態度~?」
ネクロ「お前は首突っ込みに来ただけだろうが」

後日
テル「なんなんですか急に食堂に来いって……」
ロイス「ごめんね、すぐ済むから」

◆3

ロイス「おまたせ~」(食堂入り)
テル「???」

ロイス「はい突然ですがこの中から週末デートする相手を選んで下さい」
テル「は?」

ロイス「エントリーナンバー1番、胡蝶館のプリムラさん」(衝立のカーテンから出てくる)
プリムラ「ハ~イ!」

テル「えっ!?いや何!?どういうことです!?」



プリムラ「好きな食べ物はぁレアステーキです♡」

(裏にて)エリーゼ「どう見てもあいつの苦手そうなタイプよね」

テル「本当すみません僕……夜のお店の方は、ちょっと苦手で……」レアステーキも…
(裏にて)エリーゼ「やっぱり」

プリムラ「なんであたしを呼んだのよ!」
テル「知りませんよぉ!」
(裏にて)ネクロ「前哨戦だ。これでいい」

◆4

ロイス「エントリーナンバー2番、老舗工房織り子のヘリーさん」
ヘリー「好きな飲み物はウォッカでーす☆」

テル「ミヤの……友達の……」
ヘリー「おにーさんどもー」

(裏にて)エリーゼ「これもタイプじゃなさそうだけど」
テル「無理ですね」
ヘリー「だよねー」

テル「(母語で)……ミヤには言うなよ」
ヘリー「(母語で)もう言っちった☆」
(裏にて)ネクロ「顔見知りで油断を誘う。勝負はここじゃない」



ロイス「続いてエントリーナンバー3番、うちの使用人のエルダさん」
エルダ「あっ、ど、どうも初めまして……!」

エルダ「えと……好きな動物は……子ヤギ、です……(汗)」

テル「(かっ、かわいい……!)」

(裏にて)ネクロ「先の二人が露骨に対象外な分かなり攻撃力は増すはずだ」
(裏にて)エリーゼ「タイプ分かりやすっ」

◆5

エルダ「あ、あの私……男の人とあまり話したことがなくて……その……ご、ご一緒してもつまらないかも……しれません……」

テル「(これは…)」
(裏にて)エリーゼ「エルダのあれは天然培養で演技じゃないのは保証するわ」

(裏にて)ネクロ「今回ばかりはお前が役に立った」
(裏にて)エリーゼ「もっと感謝しなさいよね連れてくるの大変だったんだから」

テル「え、えっと……」
(裏にて)ネクロ「(落ちろ……!)」



テル「僕には勿体ないです……」
「謹んで辞退させて貰います……」

(裏にて)ネクロ「なんでだよ」
(裏にて)エリーゼ「プーッ」

テル「大体こんな急にデート相手選べとか言われても無理ですって……」
ロイス「だよねぇ」

(裏にて)ネクロ「クソ……」
(裏にて)ロイス「君ちょっと」

◆6

(裏にて)ネクロ「あ?」
ロイス「(耳打ち)」
ネクロ「は?なんで……」
ロイス「いいから。ちょっと試しに」
エリーゼ「ププーッ」

ロイス「最後にもうひとかた、エントリーナンバー4番クローネさんです」

クローネ(女装ネクロ)「………」
テル「あ、この方で」
エリーゼ「早っ」

ネクロ「オイ……」
テル「重めの赤ワインがお好きでしたよね。枝通りに眺めのいい静かなカントリーレストランがありまして、肉料理やデザートのプラリネチョコがワインによく合い絶品なんだとか。プライベートブースがあるので人目も気にせずゆっくり楽しめますよ」



エリーゼ「デートプランが一息で出てきたわ」
ロイス「完璧に嗜好を把握してるね」

ネクロ「お前……俺を指名してどうする……」
テル「だって一番安心するんですもん」

「僕にはまだ女性とデートとかそういうの、早いんじゃないですかね」
「あとそれ似合ってますね(笑)」
ネクロ「うるせぇ」

エリーゼ「とんだ茶番だわ」
「楽しかったけど」
ロイス「皆さんご協力ありがとうね」参加女性達に菓子折りを渡す


===

本当にデートに行く?行かない?


行った場合

===

◆1

テル「では乾杯」
ネクロ「乾杯」
テル「……意外と飲みやすいですね」
「もっとキツイのかと思ってました」
ネクロ「甘いからな。慣れない奴があんまりぐいぐい行くと悪酔いするぞ」

◆2

ネクロ「ったく……なんでこうなる……」
テル「いいじゃないですかたまには。出張以外で外食なんて早々しないですし」
ネクロ「お前から隠れ家レストランが出てくると思わなかった」
テル「前に近くを通って覚えてたんですよ。総長が好きそうだなって」
「まさか一緒に来れると思いませんでしたが……総長がやらかしてくれたお陰ですね」
ネクロ「チッ………」

◆3

テル「いい景色ですね」(夕暮れの街並みを見下ろし)
ネクロ「……」
テル「こうして遠くから眺めると平穏がどこまでも続いているみたい」
ネクロ「……そうだな」
テル「裏通りに降りれば一気に現実ですけどね」
ネクロ「……」


テル「でも今日は、そんなこと知らないお気楽な客として美味しいお料理を楽しみたいです」
ネクロ「その相手を用意してやったってのに……」
テル「だから急に知らない人となんて無理ですって」
ウエイター「お待たせ致しました」

◆4

生垣の向こう


エリーゼ「……普通に楽しんでるみたいね」
ロイス「ね」

エリーゼ「人騒がせなやつだわ」
ロイス「ほんとにねぇ」クスクス
エリーゼ「ま、ついでに博士とタダでデートできて嬉しいけど」

(回想)
ネクロ「ああもうお前らも来い。ついでに予約する」今回の礼で
ロイス「デートなんだから2組にしといてね」
ネクロ「………」
(回想終わり)

エリーゼ「それにしてもあいつ、本気で誰かとくっつけようとしてるのかしら」

◆5

ロイス「なんかねぇ……気がかりみたい」
エリーゼ「余計なお世話だわー」
ロイス「まぁねぇ」
エリーゼ「どう見たってアレあいつのことしか見てないじゃない」
ロイス「………」


ロイス「そう思う?」
エリーゼ「そうでしょ」
ロイス「……うん……」「……でも参謀としての、じゃない?」
エリーゼ「そうかしら」

◆6

ディナーを楽しむネクロとテル

エリーゼ「あたしはなんか少しだけ気持ちが分かっちゃうわ」
ロイス「……」
エリーゼ「今のまま、できるだけ一緒に居られたらそれでいいってやつでしょ」
「先なんてない」


ロイス「………」

◆7

エリーゼ「嫌だわあたしまだ若いのにこんなこと言って」
ロイス「……エリーは時々本当は10個くらい上なんじゃって思うよ」
エリーゼ「そしたら博士より年上になっちゃう」
「……でも楽しいのは本当」「堂々と外食なんて初めてだもの」
ロイス「……そうだね」「こういう店なら時々来てもいいかもね」
エリーゼ「やったぁ♪」

◆8




テル「本当にご馳走になっていいんですか?」
ネクロ「俺の撒いた種だ」
テル「ありがとうございます。ご馳走様です」「次があったら出させて下さい」
ネクロ「バカ次は女と行け」
テル「(苦笑)」

◆9

テル「じゃ、お気をつけて」
ネクロ「お前もな」

テル「………」
三日月が浮かんでいる
テル「………」「満腹……♪」


===

end

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