【保管庫閲覧規則】


1.保管物一切の外部持ち出しを禁ず。
2.編纂室を通さない保管物の改竄を禁ず。
3.保管庫は原則を公開書架とし自由閲覧を許可する。


※保管物の全ては編纂室による架空世界の集積記録であり、実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。
※一部保管物には、暴力・死・精神的衝撃、ならびに軽度の性表現・性暴力・虐待を想起させる描写が含まれる可能性があります。
※観測した事象の変遷により保管物に再編纂が生じる可能性があります。
※保管庫内は文書保存の観点より低湿度に維持されています。閲覧に際し眼または咽喉に乾きを覚えた場合は、適宜休息及び水分補給を推奨します。


《編纂室連絡窓口》

ご連絡・ご感想等は以下をご利用ください。

ご連絡・ご感想等(匿名)
◊閲覧許可申請等◊ albafores.archive◆gmail.com(◆→@)
【編纂室責任者】蓮賀ミツヨシ


【場所】#護衛部東本部
【人物】#ディグ #テル
=====================

俺の名前はシェイマス・クローヴ

護衛部東本部の倉庫番だ。
人前に出るのが苦手で口下手で、いつも薄暗い倉庫で過ごしているため
ついたあだ名は”もぐら(ディグ)”。
最初はあまり好きじゃなかったこのあだ名も

テル「ディグ、おはよう。早いな」

今では大好きだ。


ディグ「テルさんこそ早過ぎです」
テル「朝一で纏めたい資料があったからさ~」「そうだ、これ」
ディグ「カイロ?」
テル「最近朝冷えるから。倉庫は特に寒いだろ」「風邪に気を付けてな」

ディグ「(テルさん……優しい……!)」

テルさん……キフロ参謀は、まだまだ疎まれがちな2世移民でありながら若くして輜重から護衛部参謀に抜擢された凄い人。
物凄く色んな言語が話せるし知識も豊富だし仕事も早い。
(ちなみに俺は、ばあちゃんが山岳系アズラ。)

不良息子だと評判だったネクロ総長が隊を回せているのも一重にテルさんあってのことだと、輜重兵は皆鼻高々だ。
何より、俺みたいなコネも学歴もない奴を評価してくれた……。

《回想》2年前

テル「……シェイマス・クローヴ。貴方、凄く几帳面ですね」
ディグ「そ、そうですか?」
テル「うん。検品箇所も確実だしリストも見易いし字も読み易い。独自に追加されたチェック項目も分かりやすいし理に適っている……」

ディグ「お、俺……心配性で……いつも余計に確認しちゃうんです……悪い癖で……」
テル「いや、悪くないよ。立派な才能だ。誰にでも出来ることじゃない」
ディグ「…………」赤らむ
テル「あ、すみませんつい敬語が外れちゃって」
ディグ「い、いえ全然!むむむしろ嬉しいです!」
テル「そう?ならいっかな。ところでちょっと、新しい仕事してみない?」
ディグ「新しい仕事……?」

東本部内の大倉庫に案内される

ディグ「倉庫……」
テル「そう。ここがお前の城」
ディグ「城……」
テル「本部への出入り物品の検品、管理を頼みたい」
「地味だけど物凄く重要な仕事だ。ここにある様々な品は護衛部の貴重な財産。これを正確に管理できなくては隊運営はままならない。屋台骨を支える仕事だと言っていい」
「ここがおろそかだと財産の流出や横領に繋がる。腐敗を抑止する意味でも信頼の置ける人間にしか頼めない」

ディグ「……俺で、いいんでしょうか……」
テル「うん。大丈夫。この目に狂いはないよ」

《回想終わり》

ディグ「はあ……)」溜息
「(憧れのテルさんと本部で仕事できて嬉しい……)」
「(いつも忙しそうで中々ゆっくり話す機会がないんだけど……)」

テル「あ、ディグ」
ディグ「テルさん!」
テル「今日、メシどう?」
ディグ「はい!」

大衆食堂《百舌の巣》にて

テル「は~~~今日も酷かった…………」
ディグ「テルさんて、いつも総長に振り回されて嫌気がさしてこないんすか」
テル「んーまぁ、俺も結局好きでやってるからね…惚れた弱みっていうのかなぁ……」
ディグ「えっ……!?」
テル「でも限度はあるよね~」
ディグ「……あ、あの、急に変なこと聞いて申し訳ないんすけど……」
テル「ん?なに?」
ディグ「テルさんて……総長のこと……ど、どう思ってるんすか……?」
テル「どう?」
ディグ「その、す、好きとか嫌い……とか……」
テル「ああ、そりゃまあ、好きだよ」
ディグ「そうすか……まあ、そうすよね……」
テル「うん」「世界で、一番、誰よりも」

ディグ「」
テル「でないととっくに辞表叩きつけてるって~」
ディグ「えっ、は、はあ……」
テル「あー……、一応言っておくけど、付き合いたいとかじゃないからね?」
ディグ「そ、そうなんすか……?」
テル「そうだよ」
ディグ「でも誰より好き、なんすよね……」
テル「うん」
ディグ「妹さんよりも……?」
テル「……うん」
ディグ「……」
テル「これ聞いたら総長怒るだろうからオフレコでね」
ディグ「エッハイもちろん……」

テル「うーん……何て言うかさ、俺の世界にはもう、必要なんだよね。あの人が」
「それは別に恋人とか家族とかでなくてもよくて、ただ今みたいに、一緒に仕事して顔合わしてっていう、それだけでいい。今まで通りに」
ディグ「……」
テル「あの人に着いていくって決めた時から、もうずっと惚れてるんだよね、多分」
「だからとにかく傍に居たいっていうか……ごめん俺もあんまり自分で上手く説明できないな」
ディグ「いや……」「(同じだ……)」

ディグ「もし、総長が護衛部からいなくなったらどうされます?」
テル「…………」「それは、」
ディグ「広い意味で」
テル「……その時は、俺もいないよ」
ディグ「…………」「……分かりました。答えてくれてありがとうっす……」
テル「……」
ディグ「俺、テルさんに憧れてて……いつも、何かお役に立てたらいいなって……」
「だから……よく分かってしまったっす……」
テル「……」

ディグ「でも、それはこれからも変わらないっす……」
テル「ディグ……」
ディグ「あれ、なんか……へんだな……」泣き笑いの表情
テル「……」
ディグ「俺……情けないっすね……」
テル「そんなことない」「……ありがとう……」「これからも頼りにしてるよ」
ディグ「はい……」

閉じる ∧

〔 2232文字 〕