雑記 -backyard- 雑然とした管理人の部屋

#エピソードメモ 20240225

『輪廻の話』

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テル「信じます?生まれ変わり」


ネクロ「大樹教の教義でいえば、あり得るが」
テル「個人的には」
ネクロ「……どうだろうな……あまりピンとはこない…」
テル「死んだらそれまで?」
ネクロ「……お前は」
テル「親からの教えでは、魂は輪廻するものだと」
「善き魂、悪しき魂それぞれに辿る道があり、生を受けたものは善き魂を目指して歩むべきだと」
ネクロ「……」
テル「子どもに道徳を教える上で便利ですよね」「それで、僕個人としては、信じています」
ネクロ「……」やや驚き
テル「善き魂を目指したところで報われない人生もあるわけですから、来世くらいは恵まれていると思いたいなと」
ネクロ「……」
テル「反対に悪行を働いてものうのうと生きてる輩は、未来永劫責め苦に遭えばいいと思うことで密かに溜飲を下げるわけです」
ネクロ「……意外だな、信心はあまりないものかと」
テル「……」ネクロを見る
ネクロ「……なんだよ…」

テル「ありますよ」
ネクロ「…そうか」
テル「だからいつでも死んでもいいと思えるんです」
ネクロ「…………」
テル「死んだところで、きっと舞い戻りますから」
ネクロ「…?」
テル「それまで善き魂であれば、ね」

ネクロ「…舞い戻る…」
テル「……想像されたことはないですか?亡くなった方が、人以外の生き物や草木に生まれ変わると」
ネクロ「……俺にとっては……ずっとそのまま……ずっと…」

テル「…死者の魂を、解き放つのも、留め置くのも、結局は生者の意識一つですね」
ネクロ「……」
テル「魂はどこにあって、そして誰のものなんでしょう」
ネクロ「…………」
テル「……貴方が僕の魂は輪廻すると思ってくれれば、それはきっと叶うでしょう」
「貴方が輪廻はないと信じていれば、仮にあったとしても、なかったことになるでしょう」
ネクロ「………」

テル「楔をひとつ、差し上げます」
ネクロ「…?」
テル「僕の死後、朝方に貴方の真上を鷹がくるりと2回飛んだなら、僕の輪廻は成ります」
ネクロ「?どういう意味だ」
テル「ただのおまじないです」「そんなものですよ信心なんて」
ネクロ「………」
テル「僕達明日死ぬかもしれないですよね」
ネクロ「……」
テル「でも物足りなくないですか?」「まだやり残したこともあるでしょう」「それでも死ぬ時は死んでしまいます」「だから心残りは来世に託すんです」「とても今世だけでは消化し切れそうにないものは、次に引き継ぎですよ。次。」
ネクロ「引き継げるもんか…?」
テル「分かりませんけど、絶対できないとも言い切れないでしょう」

「例えば不思議と惹かれる花があったとして、それは前世で繋がった魂が宿っているからだ、とか」「鳥の囀りや湿度を帯びた風の匂いや雲間の陽光にも、懐かしさを覚えるだとか」「結局僕ら人間の命は数多の命のひとつに過ぎなくて、生まれたり死んだりを繰り返し続ける世界の中で、少しでも希望を持っていたくて、きっとこういう思想が生まれたのでしょう」


ネクロ「(それでも俺は)(今目の前にいるお前こそがお前であって)(その辺の花や木にお前を見ることは難しい)」「(何より喋らないし、本も読めずにチェスも打てない)(そんなのは、)(そんなのは…)」



ネクロ「…というか、それならお前俺が死んだ後引き継ぎできるよな」
テル「………」
ネクロ「俺の魂も輪廻すると思ってるんだろ。お前がそう思ってりゃ叶うんだよな」
テル「…………」「それはまた別の問題でして…」
ネクロ「…………」
テル「貴方も輪廻はすると思ってますよ?思ってますけど、死別に耐えられるかっていうとそれはちょっとまた違うっていうか…」
ネクロ「散々説いてたよな。希望を持つ方法だとか」
テル「そうですねぇそうなんですけどねぇ」
ネクロ「お前自分はやれねぇで俺にはやれってそんな道理があっていいのか」
テル「だって僕の出会った貴方は今の貴方であって…」
ネクロ「ああ」
テル「今の貴方でなきゃ出来ないことが沢山あって…」
ネクロ「そうだな」
テル「それがなくなってなお気を確かに持てるかっていうと…」
ネクロ「……解るぞ」
テル「…………」
ネクロ「だから俺は出会った時の相手の姿が全てであって、それ以外は受け入れがたいと思っている」
テル「……はい」
ネクロ「………」
テル「………」「もっともですね」
ネクロ「……だろ」
テル「……ええ」


ネクロ「結論」
テル「気の持ちようです」
ネクロ「曖昧だな……」
テル「どう取るかはその人の自由なのです……」


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以前、輪廻し続け出会いと別れを繰り返す二人が出てくる絵本を読んだ時に書いたもの……

テルは自分に出来ないことを他人には求める図々しさを備えているな……

畳む

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