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◆ロスとライオネルの邂逅メモ
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#ロス#ライオネル

シーンメモの書き散らかし。




《凪の庵》にまだロスしか居ない頃、深夜親父さんの手伝いで床掃除をしていたロスの前に、血塗れのライオネルを連れたスラッグがやってくる(当時のロスはまだ夜行性気味)。

金は出すので一部屋借りたいと言うスラッグ。
ライオネルの特異性(人狼)に即座に気が付くロス。
そんなロスを見て同じく特異性(吸血鬼)に気付くスラッグ。

「この宿は当たりだな」スラッグは小さく呟き親父との交渉を進める。
「こういう手合いに慣れておられるようだ…」


その後回復したライオネルから執拗に勧誘を受けるロス。
だがどうにもいけすかないので断り続ける。

ライオネル「ロス~!俺らと一緒にひと狩り行こうぜぇ?」
ロス「話しかけるな」
ライオネル「そんなに毛嫌いしなくてもよくね?今は毛、そこまでないし?」
ロス「お前は血の匂いが酷すぎる」
ライオネル「えぇ?そそらねえの?牙の同胞~」
ロス「誰が同胞だ」
スラッグ「随分嫌われているな。同じ夜の住人かと思ったのだが」
ロス「……一緒にしないでくれ」



ジギー加入後。
宿の一階で遠巻きにロスとジギーを眺める二人。

ライオネル「ありゃお連れさん」
スラッグ「見るからに魔術師だな」
ライオネル「随分おキレイなお顔じゃんよ。ロス~景気良さそうだなぁ~(手を振る)」
ロス「(シカト)」
ライオネル「今日も冷てぇ~」
スラッグ「中々仲良くなれないな」
ライオネル「あれ今日のディナーかな。羨ましい。魅了持ちはいいよねぇ」
スラッグ「いくらなんでも常宿には獲物を連れ込まないだろ」
ライオネル「えぇ?じゃあなに?コレ?(小指を立てる)」
スラッグ「さあね…」


後日

ライオネル「ロス~(進行を妨害しつつ)」

ロス「邪魔だ」
ライオネル「あぁ~早くカノジョの元へ戻りたいもんな?」
ロス「(驚き、睨む)」
ライオネル「心配しなくても俺の好みじゃないから手ぇつけたりしねぇよ?俺はやっぱ若い女が一番だなぁ~男なんて固ぇじゃん。まぁ確かに顔は可愛いけどな?澄まし顔って崩し甲斐あるもんなぁ」

ロス「お前が」
ライオネルの襟首を掴み壁に叩き付ける。

ライオネル「おっ」

ロス「もし」「ジギーに何かしたら」「滅ぼしてやる」「跡形もなく」

ライオネル「ヒュー!いい眼だぜロス!その紅!宴の日を思い出して勃っちまいそうだ」
ロス「……」
ライオネル「しかしいいのかぁ?そんな美味しいコト言っちゃって」
「俺はお前の本能曝け出す為なら何でもしたいって心づもりだぜ?」

ロス「お前は」
ライオネル「んん?」

ロス「俺と」「仲良くしたいんだろ」「ライオネル」
瞳が冴え冴えと、紅く冷たい光を帯びる。

ライオネル「(背筋が凍る)」
ロス「……精々気を付けろよ」

ライオネルを残しその場を去る。


ライオネル「……ヒュ~……流石だ同胞……惚れちゃうね……」




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ロスと仲間意識から仲良くなりたいが上手くいかない時期。

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【ロス視点】


早朝一階に降りると、会いたくもない顔が窓際の席にいた。
宿の親父はまだ出てきておらず、奴と二人きりの空間だった。
無視しようとした背中に、そいつの声が投げ付けられる。


ライオネル「満月の時ってどうしてる?」

ロス「……なんでお前にそんなこと」
ライオネル「いいじゃん、雑談だよ雑談」
ロス「……」
ライオネル「……寂しかったんだぜぇこれまで」
「同じような奴に巡り合うこともできず三年以上」
「あの日からずーっと……」
ロス「……」
ライオネル「……だから、ちょっとだけ相手してくれよ」「な」
ロス「……」

奴は、今まで見たことのないような遠い目で、食堂の床板あたりに視線を落としている。
いつものように口を大きく開かないので鋭い牙は隠れており、口調こそいつも通りだが声の調子に軽薄さがなく、まるで別人のような……恐らく、転化する前の姿のような、そんな様子に、気持ちが揺らぐ。

俺はやっぱり甘いのかもしれない。



ロス「……狩りをしてる」

ぶっきらぼうに答えると、奴はこちらを見て金色の瞳を見開き、わかりやすく驚いた。
そしてすぐにその瞳を弓なりに細め、そのまま再び、そっと視線を落とした。

ライオネル「俺も」



この化け物にはこれまで嫌悪感はあれど仲間意識など感じたことはなかったが、今この空間にある共有感は、決して不快なものではなかった。

人を喰らう側となった元人間。
望まずとも、その血を肉を得なくては生きられない身体。

呪われた者同士が慰め合ったところでどうにもならないが、この日のこの無音と日差しと温度は、世界が自分達を受け入れてくれているような感覚を、僅かながらに感じさせるようなものだった。




ライオネルはてっきりもう、人間への情など切り捨てているのかと思っていた。
だから平気で女子供であっても糧にしているのだと思っていた。


「手を着けたら最後、一片残さず喰うしかねぇ」
「お前みたいに、つまみ食いなんて器用な真似できねぇんだよ」
「この呪われた餓えは」

彼の瞳は元は何色だったのだろう。
餓えた狼へと転化する前の、ヒトであった彼は。

いつもような軽口の向こうに揺れる寂寞。
この悲しい色を俺はよく知っていた。



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自宿SS

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