机の上の書類の山に頭を抱えるテル
テル「(あ~~~~~~煮詰まってきた)」
「(こういう時は…)」
携帯チェス盤を広げる
棋譜を並べ始める
テル「(一旦思考をリセットしないと)」
机の向かいに座るネクロ
ネクロ「…誰の棋譜だ」
テル「稀代の名棋士〇〇と北壁一と謳われた〇〇の大一番ですよ」
「この切り替えし!」「…痺れますね~…」
ネクロ「…お前が総長になったら就任決闘はコレだな」
テル「…総長はどうするんです?来年から解禁でしょう」
ネクロ「………」「ベッドテク?」
テル「協賛は胡蝶館ですか。完全に八百長じゃないですか」
ネクロ「真面目に答えんなよ…」
テル「僕は真面目に聞いてるんですよ」
ネクロ「さぁな…」
テル「……」ネクロの顔を見る
テル「…多分、西本部長あたりが挑んでくるんじゃないですか」
ネクロ「かもな…」
テル「譲る気ないんですよね」
ネクロ「まぁな…」
テル「…………」「その機会、ないと思ってます…?」
ネクロ「…………」「……そういう訳じゃない」「ただ、単純に」「あまり考えてない」
テル「………」
ネクロ「シラーは就任決闘をしなかった」
テル「…隊員を景気づけるパフォーマンス的意味合いも強いですから、それを嫌っていたとか」
「逆に先々代以降は護衛部が市井寄りになり、要望を受けて復活しましたね」
「実際総長交代は決闘のみではなく綿密な事前協議を重ねて行われますから、決闘自体はポーズみたいなものでしたが」
「それを先代がステゴロガチンコになんてしたから…」
ネクロ「骨が折れたな」
テル「ええ本当に…」
テル「つまり総長は就任決闘を廃止したいと?」
ネクロ「正直面倒臭い」
テル「元も子もないですね」
ネクロ「実際2年おきに総長を替えてどうする?引継ぎがクソ面倒なだけで何もできやしない」
テル「なら確定任期の延長ですか?」「独裁的だと不平も出ると思いますが」
ネクロ「それはな…」
テル「だから今の総長が最適だって定期的に周りに示すのはいい機会なんですよ」
「広く挑戦を受け、それを退け続けるなら何年在籍したっていいんですから」
ネクロ「………」
テル「先々代を参考にされては?」
ネクロ「あいつは狡いから…」「あいつこそ八百長でパフォーマンスだ」
ネクロ「お前に打ち勝ったら挑戦権を得る事にすれば」
テル「また面倒ごとを僕に押し付けようとして…」
ネクロ「参謀の実力含めて総長の力量と見れば正当」
テル「悪い気がしないのが悔しいですね…」「でも当の貴方は僕に勝てないじゃないですか」
ネクロ「いいんだよ別に」「自分の腕に勝つ必要なんてない」
テル「………さっきからわざとです?」
ネクロ「何がだ」
テル「いちいち嬉しいんですよ!」
ネクロ「何でキレる…」
テル「貴方だっていつも変なところでキレてますよ」
ネクロ「そんなに嬉しいかよ…」
テル「嬉しいですよお陰で頭の中空っぽになりました」
ネクロ「なんだそれ…」ふっと笑う
テル「……総長、何か変なものでも食べました?」
ネクロ「は…?別に…」
テル「普段の10倍くらいリアクションが素直です」
ネクロ「そうかよ…」
テル「さてはだいぶお疲れですね?」「気にせず帰って結構ですよ」
ネクロ「いや…今日はもう泊る…」
テル「そうですか…」
書類整理をしだすテル。
ネクロはただ向かいに座っている。
ネクロ「……」
テル「……」「(なんか…この時間…)(堪らないな…贅沢で…)(…静か…)」
テル「…もしかして僕が終わるの待ってます?」
ネクロ「…邪魔か」
テル「いいえ」「一緒に寝たいんですか?」
ネクロ「バカ言え」
テル「一人で寝るのが寂しいのかと」
ネクロ「………」
テル「………好きなだけ居て下さい」
ネクロ「………」
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