野営一幕

ネクロとテル、野営したのちの朝
朝食を作っている2人

テル「あー…」卵を割る時カラを砕いてしまう

隣で湯を沸かしているネクロ
ネクロ「…ヘタクソ」

ネクロ「手際いい方が女受けするぞ」
テル「それは別に、構いませんよ…」
ネクロ「…清楚系と結婚して家を持つんじゃなかったか」
テル「清楚系かは置いておいて、僕の村では、成人男性なら当然のようにそうなったんです。親の見立てで結婚がとりなされて、嫁を持って子を持って、ロバを持って羊を持つ。それが当たり前で、他に選択肢はない」

ネクロ「…」
テル「それで、親のない自分でもどうにか一人前になると妹に言い含めていたので、そのまま他の人にも言っていましたが、正直、それは僕の意思って訳でもないんです」


テル「妹も、本来とっくに嫁いでいる歳ですからね。お互い分かってはいるんです。村の掟が世界の全てではなかったんだって」


ネクロ「…」


テル「護衛部なんて独身男性だらけですからね。むしろ独身男性の吹き溜まりというか、収監所というか…」

ネクロ「そこまでじゃないだろ…確かに上にいく程少ないが…」
テル「一般的には逆ですよ」
ネクロ「そうかもな…」


テル「…なので、このままでもいいならそれでいいな、っていうのが…正直なところで…」

ネクロ「…」


テル「総長は結婚願望ありますか?」

ネクロ「ない」
テル「でしょう」
ネクロ「…でもお前がしたいなら援助はするぞ」
テル「したくない人にご援助いただきましてもね…」


テル「僕今のままがすごく快適なんですよ」

ネクロ「それは妹がお前の分まで家事をやってるからだろ…」
テル「それは否定できませんが…」
ネクロ「妹がいなくなったらそうもいかねぇだろ」
テル「そうですねぇ…」「でもこの程度はできますよ?」
目玉焼きを渡しつつ


ネクロ「まあ食えはするが…」

テル「充分でしょう」


テル「あと妹の代わりに家事をやって欲しくて結婚相手を探す、っていうの、どうなんでしょう」

ネクロ「別にそれが全てではないだろ。…ただ、確かにそれなら使用人でいいな」
テル「でしょう」


テル「子供欲しくないなら人雇えば解決ですよね」

ネクロ「…欲しくないのか」
テル「別に特段。父祖を継いでいく気概もないですし。村でなら持ったかもしれないですが。総長もでしょう」
ネクロ「…まあ」
テル「先々代のように養子をとる手もありますしね」


ネクロ「…でも正直、お前の血が絶えると思うとちょっと惜しいな…」


テル「」


テル「えっ……そ、総長、もし総長が女性だったら僕の子供、産んでくれました…?」

ネクロ「何でそうなる」


テル「僕も総長の血の継承の為なら喜んでご協力しますが」

ネクロ「いらん。落ち着け」


テル「だって今の…ぎょっとしますよ…」

ネクロ「…だから結婚したいなら援助すると言ってるだろ…なんで相手が俺になる」


テル「だって総長にしかそんなこと言われないですもん」


ネクロ「…」

テル「…」


ネクロ「そろそろ行くか」

テル「はい」
野営を片付ける


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